「むし歯治療はどこまで保険が利くの?」
「矯正治療は保険でできるのか知りたい」
「こどもの医療費助成はどれくらい負担が減るの?」
お子さんの歯科治療費について、気になる保護者様も多いかと思います。こどもの歯科治療は大人と同様、保険が利くもの(保険診療)と自己負担(自由診療(自費診療))になるものの2つに分けられます。また、こども特有の医療費助成制度としてはいわゆる「マル乳」「マル子」もあります。
今回は「健康保険で受けられる歯科治療」および「こどもの医療費助成」についてお話をさせていただきます。
目次
- ■健康保険のルール
- ◎「健康を維持するために必要な診療」=保険が適用されます
- ◎「美容目的(見た目を整える、美しくする)の診療」および「必要最低限を超えた診療」=保険が適用されず、自己負担になります
- ■健康保険で受けられるこどもの歯科治療
- ・むし歯治療
- ・歯肉炎治療、予防歯科(むし歯や歯肉炎を予防する処置のこと)
- ■健康保険で受けられないこどもの歯科治療
- ・自費の素材を使うむし歯治療
- ・矯正治療
- ■こどもの医療費助成(「マル乳」「マル子」)について
- ◎保険の支払い分をお住まいの自治体が代わりに支払ってくれます
- ◎医療費助成についてわかりやすく解説
- ■こども医療費助成を受けるには
- ◎医療証(こども医療費助成受給券)の申請・受給が必要になります
- 【医療費助成の活用でお子さんの歯科治療費を軽減できます】
■健康保険のルール
健康保険のルールを知ることで、どの診療(診察や治療)が保険適用されるのかを理解しやすくなります。
◎「健康を維持するために必要な診療」=保険が適用されます
日本の公的医療保険(社会保険(健康保険)や国民健康保険)では、健康を維持するために必要な(最低限必要な)診療に保険を適用できる、という法律があります。
治療をしなければ健康を大きく損なったり、通常の日常生活を送ることができない場合、保険が適用され保険診療が可能となります。
◎「美容目的(見た目を整える、美しくする)の診療」および「必要最低限を超えた診療」=保険が適用されず、自己負担になります
見た目を整えたり美しくする審美治療については、保険は適用されず自費診療となります。必要最低限を超えた診察や治療(先進的な精密機器を用いた検査や先進的治療、高価な歯科素材を使った治療など)も保険の適用外となります。
■健康保険で受けられるこどもの歯科治療
健康保険で受けられるこどもの歯科治療は以下になります。
・むし歯治療
むし歯治療は保険が適用されます。ただし、詰め物やかぶせ物の種類は特定の物(レジンや銀歯など)に限定されます。
・歯肉炎治療、予防歯科(むし歯や歯肉炎を予防する処置のこと)
歯肉炎治療や予防歯科は保険が適用されます。具体的には、歯のクリーニングや歯石取り、PMTC(※)など、一般的な歯の清掃は保険適用です。歯のチェックを行う定期検診も歯肉炎予防に分類されるため、保険が適用されます。
こどものむし歯予防で行うシーラントやフッ素塗布も保険が適用されます。ただし、シーラントで保険適用となるのは6歳~12歳までのこどもが対象で、なおかつ、初期むし歯にかかった乳歯か、生えたばかりの永久歯に限定されます。13歳以上は保険適用できません。
フッ素塗布については原則、自費診療となります。ただし、13歳未満のこどもでむし歯予防の指導を継続的に受けていてもむし歯があるケースにかぎり、保険を適用可能です。
具体的には、歯科医院でむし歯予防の指導を継続的に受けていることを前提とした上で、
・0~4歳で乳歯に1本以上むし歯がある
・5歳~7歳で乳歯に3本以上、永久歯に1本以上むし歯がある
・8~10歳で永久歯に2本以上むし歯がある
・11~12歳で永久歯に3本以上むし歯がある
上記がフッ素塗布の保険適用の条件となります。
(※)PMTCは保険適用できない場合もあります。
■健康保険で受けられないこどもの歯科治療
健康保険で受けられないこどもの歯科治療は以下です。
・自費の素材を使うむし歯治療
セラミックやゴールドなど、自費の素材を使うむし歯治療は保険適用外です。
・矯正治療
原則として、矯正治療は大人・こどもともに自費診療になります。ただし、国が定める特定の疾患(顎変形症(※)など)と診断された場合は保険が適用され、保険適用で矯正治療を受けられます。
{矯正治療に保険が適用されるケース}
・生まれつき、永久歯が6本以上生えてこない先天性疾患
・顎変形症や唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)、ダウン症 など
(※)顎関節症は顎変形症とは異なります。顎関節症は矯正治療の保険適用外です。
■こどもの医療費助成(「マル乳」「マル子」)について
◎保険の支払い分をお住まいの自治体が代わりに支払ってくれます
保険診療でお子さんが歯科治療を受けた場合、こどもの医療費助成制度を利用することで保険の自己負担分をお住まいの自治体が助成してくれます(自治体が代わりに支払ってくれる)。
こどもの医療費助成とは、0歳~15歳までのこどもの医療費を各自治体が負担する助成制度です。お子さんが歯科治療などの医療を受けた場合、保険診療にかぎり、自己負担分の一部または全額を各自治体が公費で助成します。なお、自費診療には医療費助成は適用されません。
こども医療費助成制度はお子さんの年齢によって以下のように名称が異なります。
・0歳~小学校入学前(乳幼児)までのこども=「乳幼児医療費助成制度(マル乳)」
・小学生~中学生までのこども=「義務教育就学児医療費助成制度(マル子)」
◎医療費助成についてわかりやすく解説
日本の公的医療保険では、社会保険(健康保険)、国民健康保険、どちらも医療費の自己負担割合を以下のように定めています。
・0歳~6歳(小学校入学前の乳幼児)=2割負担
・7歳~69歳以上=3割負担
医療費助成とは、上記の保険自己負担分を各自治体が代わりに助成する(支払ってくれる)制度です。助成の割合や自己負担額は各自治体によって異なります。千葉市ではこどもの医療費助成制度について以下のように定めています。
<千葉市のこども医療費助成制度>
・助成割合(保護者様の負担額)
助成対象 | 0歳~小学3年生 | 小学4年生~中学3年生 | |
助成区分 | 通院・入院・調剤 | ||
保護者様の 負担額 |
通院1回につき300円 調剤1回につき300円 入院1日につき300円 |
通院1回につき500円 調剤1回につき500円 入院1日につき500円 |
|
市町村民税所得割(住民税)が課税されていない方は無料 |
(注1)院内処方(病院やクリニック内で処方されたお薬を受け取ること)は
保護者様の負担額は無料です。
(注2)母子・父子家庭医療費助成制度および心身障害者医療費助成制度を利用している方は、
こども医療費助成制度との併用はできません。
・助成方法
現物給付(窓口で医療証を提示) | 償還払い(受診後、後日払い戻し) |
千葉県内の医療機関でこども医療費助成受給券(医療証)を提示することで、規定された保護者様の負担額のみのお支払いになります。 |
医療機関でいったん、医療費を支払い、領収書をお受け取りいただきます。翌月以降、領収書を添付して市に申請を行い(※)、後日、償還払いにより支払ったお金がもどってきます。 |
(※)お住まいの地区の保健福祉センターこども家庭科での申請になります。
上記の「助成割合(保護者様の負担額)」の表には通院・入院・調剤1回につき300円、500円と記載されています。これは「1回(入院の場合は1日)につき医療費が300円(500円)以上かかっても、保護者様は一律300円(500円)のお支払いでOKです」という意味です。
[お住まいの自治体以外の医療機関での受診にも医療費助成が適用されます]
医療費助成はお住まいの自治体以外で医療機関を受診した場合にも適用されます。自治体以外の医療機関を受診したときは窓口でいったん医療費をお支払いいただきます。後日、領収書を添付して市に医療費助成の申請を行い、償還払い(医療費の払い戻し)を受ける流れとなります。
■こども医療費助成を受けるには
◎医療証(こども医療費助成受給券)の申請・受給が必要になります
マル乳・マル子などのこども医療費助成を受けるには、医療証(千葉市では「こども医療費助成受給券)」)の申請および受給が必要です。医療証の申請・受給方法は各自治体によって異なります。千葉市の医療証の申請・受給方法は以下になります。
①こども医療費助成受給券交付申請書(※)に必要事項を記入。
②申請書に必要書類を添付し、お住まいの地区の保健福祉センターこども家庭科にご持参または郵送。
(※)申請書は保険福祉センターで取得できます。千葉市のHPからもダウンロード可能です。
【医療費助成の活用でお子さんの歯科治療費を軽減できます】
保険で受けられる歯科治療はこども医療費助成(マル乳・マル子)の適用対象です。保険診療を受けた場合、医療費助成を活用することでお子さんの歯科治療費を軽減できます。
美浜デンタルクリニックでは医療費助成に対応した小児歯科治療を行っています。お子さんの歯のお悩みがある方や定期検診をご希望の方は当院までお気軽にご相談ください。